BCP(Business Continuity Plan)とは、地震・水害・サイバー攻撃・パンデミックなどの非常事態においても、企業が重要な業務を中断せず継続または早期復旧できるようにするための計画です。
ITシステムの復旧手順や代替手段の整備、人員配置、通信確保などが含まれます。
BCPでは、社内外との通信手段を「安全に維持する」ことが極めて重要です。その鍵を握るのがSSL証明書による通信の暗号化です。
SSL証明書とは?
SSL証明書は、インターネット上の通信を暗号化し、第三者による盗聴や改ざんを防ぐための技術です。通常「https://」で始まるWebサイトに使われ、ユーザーとサーバー間のやり取りを保護します。
災害時やシステム障害時にも、通信の安全性を保つためにはSSLの導入と継続的な管理が不可欠です。
非常時における通信リスクと課題
- VPNやクラウドへのアクセスが一時的に集中し、脆弱性が露出する
- 偽のサイトに誘導され、従業員が機密情報を誤送信
- SSL証明書の期限切れにより、安全な接続が不能に
- 緊急時対応で設定ミスが起こり、通信内容が漏洩
このようなリスクに備えて、SSL証明書を組み込んだ通信の安全対策が求められます。
SSL証明書を活用したBCP対応通信の構築方法
- 社内システムの常時HTTPS化
通常運用時からイントラネットや社内WebシステムにSSL証明書を適用しておくことで、非常時にもセキュアなアクセスが確保されます。 - VPN接続時のTLS暗号化
テレワーク時に使用するVPNゲートウェイには、信頼されたCAのSSL証明書を導入。TLS1.2以上を使用し、安全な経路を維持します。 - クラウドサービス連携の通信保護
クラウドストレージや業務アプリとのAPI通信にもSSL/TLSを用いて暗号化を徹底します。 - クライアント証明書の導入
端末認証を強化するため、重要な操作を行う従業員にはクライアント証明書を配布。なりすましを防止します。 - 証明書の更新管理体制の確立
非常時に証明書の期限切れが発生しないよう、自動更新または更新スケジュールの管理を行います。
SSL証明書の種類と選定のポイント
- OV証明書:組織単位の運用に適しており、一般的な業務用システムに広く利用されます。
- EV証明書:高信頼性が求められるシステム(災害情報、政府機関)に最適。緊急時の混乱回避にも有効です。
- ワイルドカード証明書:複数のサブドメインを管理する場合に便利で、管理の効率化につながります。
非常時にも機能するための準備・対策
- 証明書の有効期限と更新スケジュールを社内共有
- 災害発生時でもアクセス可能な「災害対策用サーバー」にもSSLを適用
- BCPマニュアルに「SSL証明書の確認・復旧手順」を明記
- DNSやCDNサービスでもSSL設定が有効か定期チェック
まとめ:SSLは非常時通信の“安全弁”
BCPを実効性あるものにするには、災害時でも信頼できる通信を維持することが必須です。
SSL証明書を用いて、通常時から安全な構成を整えておけば、緊急時でも社内外の連携が円滑に行え、企業の信頼も損なわれません。
SSLは平常時と非常時をつなぐ“安全弁”として、あらゆるBCPの中心にあるべき存在です。


















