SSL証明書は、Webサイトの通信を暗号化し、安全に利用するための重要な要素です。しかし、導入や運用の過程で思わぬトラブルに直面することも少なくありません。
「鍵マークが消えてしまった」「証明書が有効なのにエラーが出る」「急にサイトにアクセスできなくなった」──こうした問題は、ちょっとした設定ミスや知識不足によって引き起こされることが多いのです。
この記事では、よくあるSSL証明書のトラブル事例と、それに対する具体的な回避策を初心者向けにわかりやすく解説します。
よくあるSSL証明書のトラブル事例と原因
✅ トラブル1:証明書の期限切れ
症状:突然「この接続は保護されていません」「証明書が無効です」と表示される。
原因:証明書の有効期限が切れてしまっている。特にLet’s Encryptのように90日更新の無料証明書は更新忘れが起こりやすい。
回避策:
- 自動更新スクリプト(cron+certbotなど)を導入する
- 有効期限を監視し、通知メールを受け取る設定にする
✅ トラブル2:中間証明書の未設定
症状:特定のブラウザやスマホでSSLエラーが出るが、他では正常。
原因:中間証明書(中間CA)が正しく設定されていない。ブラウザによっては中間証明書を自動補完しない場合がある。
回避策:
- SSL証明書インストール時に「fullchain.pem」など中間証明書を含むファイルを指定する
- SSL Labsなどの検証ツールで「チェーンが完全か」を確認する
✅ トラブル3:混在コンテンツ(Mixed Content)
症状:HTTPSサイトなのに「保護されていません」と表示されたり、鍵マークが消える。
原因:HTTPSのページ内に、HTTPの画像やスクリプトが読み込まれている状態。
回避策:
- サイト内リンクやリソースパスを一括で「https://」に変更
- WordPressの場合は、プラグイン(例:Really Simple SSL)を使って自動置換
✅ トラブル4:自己署名証明書の使用
症状:警告が表示され、「この接続は信頼できません」と出る。
原因:正式な認証局(CA)ではなく、自分で作成した自己署名証明書を使用している。
回避策:
- 本番環境では必ず信頼できるCAから発行された証明書を使用
- 開発環境と本番環境を明確に分ける
✅ トラブル5:wwwと非wwwで証明書が未対応
症状:「https://example.com」は保護されているが、「https://www.example.com」はエラーになる(または逆)
原因:SSL証明書のカバー対象にサブドメインが含まれていない
回避策:
- ワイルドカード証明書(*.example.com)やSAN(Subject Alternative Name)付き証明書を使用
- 片方に統一し、301リダイレクトで一元化する
✅ トラブル6:ドメイン移転・サーバー移行後の証明書エラー
症状:サイト移転後にSSLが使えなくなる
原因:
- 新しいサーバーに証明書を再設定していない
- IPアドレスのDNS浸透が不完全なままアクセスされている
回避策:
- 移行前にSSL証明書をエクスポート(PFX形式など)
- 新サーバーで正しく再インストール
- DNS切り替え後、数時間は旧サーバーを残すなど慎重に対応
トラブルを未然に防ぐための対策まとめ
| 対策 | 説明 |
|---|---|
| 自動更新設定 | Let’s Encryptなどはcronで定期更新 |
| 定期監視ツール | SSL Labs、Cert Log Monitorなどを活用 |
| 常時SSL化 | すべてのページ・リソースをhttps対応に |
| 中間証明書の確認 | インストール時にチェーンを確認 |
| サブドメインの網羅 | 証明書選定時に注意(SANやWildcard) |
初心者向けにおすすめのチェックツール
- [SSL Labs(https://www.ssllabs.com/ssltest/)]
証明書チェーンや暗号強度をスコアで評価 - [Why No Padlock(https://www.whynopadlock.com/)]
混在コンテンツの検出に最適 - [crt.sh(https://crt.sh/)]
過去に発行されたSSL証明書の履歴検索
まとめ
SSL証明書は、Webサイトにとって不可欠なセキュリティの要ですが、その設定や管理における小さなミスが、重大なトラブルにつながることもあります。
定期的な確認と、正しい知識のもとでの運用が、安全なサイト運営には欠かせません。初心者でも使いやすいツールや自動化機能を活用し、トラブルを未然に防ぎましょう。
「SSLは入れたから安心」ではなく、「運用し続けてこそ安心」なのです。


















