SSL(Secure Sockets Layer)とTLS(Transport Layer Security)は、ウェブサイトのセキュリティを確保するためのプロトコルですが、これらの違いを理解している人は少ないかもしれません。
この記事では、SSLとTLSの違い、それぞれの役割、そしてなぜTLSが現在の標準となっているのかを解説します。
SSLとは何か?
SSL(Secure Sockets Layer)は、1990年代にNetscapeによって開発されたセキュリティプロトコルで、インターネット上での通信を暗号化する技術です。
SSLは、クライアント(通常はウェブブラウザ)とサーバー間の通信を暗号化し、第三者によるデータの傍受や改ざんを防ぐために使用されます。
- 主なバージョン
SSLにはいくつかのバージョンが存在しますが、最も広く使用されたのはSSL 3.0です。
ただし、SSL 2.0およびSSL 3.0には重大なセキュリティ脆弱性が発見されており、現在では推奨されていません。
TLSとは何か?
TLS(Transport Layer Security)は、SSLを改良した後継プロトコルで、より高度なセキュリティを提供します。TLSはSSL 3.0を基にしており、セキュリティの改善と新機能の追加が行われました。
TLSは現在、インターネット上の通信のセキュリティを確保するための標準プロトコルです。
- 主なバージョン
TLS 1.0、TLS 1.1、TLS 1.2、そして最新のTLS 1.3が存在します。
TLS 1.3は、従来のバージョンに比べてセキュリティが強化され、通信速度も向上しています。
SSLとTLSの違い
SSLとTLSは共にセキュリティプロトコルですが、TLSはSSLの後継として設計され、以下のような違いがあります。
- セキュリティの強化
TLSはSSLよりも強化された暗号化アルゴリズムを使用しており、脆弱性の修正やセキュリティ機能の向上が図られています。 - パフォーマンスの向上
TLS 1.3では、接続のセットアップ時間が短縮され、より高速な通信が可能です。
これにより、ユーザー体験の向上にも寄与しています。 - 互換性
現在、多くのブラウザやサーバーがTLS 1.2およびTLS 1.3に対応しており、SSLはほとんどの環境で非推奨となっています。
なぜTLSが標準になったのか?
TLSが標準プロトコルとして採用された理由には、セキュリティとパフォーマンスの向上が挙げられます。
- 脆弱性の修正
SSLにはPOODLE(Padding Oracle On Downgraded Legacy Encryption)やBEAST(Browser Exploit Against SSL/TLS)などの脆弱性が存在しましたが、TLSではこれらが修正されています。 - ブラウザとサーバーの対応
現在、ほとんどのウェブブラウザとウェブサーバーがTLSを標準でサポートしており、SSLを使用する必要がなくなりました。
SSL/TLSの設定におけるベストプラクティス
ウェブサイト運営者がSSL/TLSを正しく設定するためのベストプラクティスを紹介します。
- TLS 1.2または1.3を使用
サーバー設定でTLS 1.2またはTLS 1.3を使用するように設定し、SSLや古いTLSバージョン(TLS 1.0、1.1)は無効にしましょう。 - 強力な暗号化アルゴリズムの選択
AES 256ビット暗号やChaCha20-Poly1305など、最新かつ強力な暗号化アルゴリズムを使用しましょう。 - 中間証明書の正しい設定
サーバーに中間証明書を正しくインストールし、証明書チェーンが完全であることを確認します。 - HTTP Strict Transport Security (HSTS) の導入
HSTSを有効にして、すべての通信が自動的にHTTPSにリダイレクトされるようにします。 - 定期的な監査と更新
セキュリティプロトコルの設定や証明書の有効期限を定期的に監査し、必要な更新や修正を行います。


