SSL証明書を導入することで、Webサイトのセキュリティと信頼性を高めることができます。しかし、初めての導入や更新の際に、思わぬトラブルに遭遇するケースも少なくありません。この記事では、SSL証明書導入時によくあるトラブルの事例と、その具体的な解決方法を初心者向けに解説します。
よくあるトラブル事例と解決法
1. SSL証明書が正しくインストールされていない
症状:ブラウザで「安全な接続ではありません」や「証明書エラー」などの警告が表示される。
原因:証明書のインストールミス、中間証明書の設定漏れなど。
解決法:
- サーバーに中間証明書(CA Bundle)を含めて再インストール。
- SSL Labs(https://www.ssllabs.com/ssltest/)で診断して、チェーン構成を確認。
- サーバーに応じた正しい証明書フォーマット(PEM形式など)でアップロード。
2. HTTPからHTTPSへのリダイレクトが機能しない
症状:HTTPS対応しているのに、HTTPでアクセスするとリダイレクトされない。
原因:.htaccessやサーバー設定の記述漏れ。
解決法:
- Apacheの場合:.htaccessに以下を記述。
RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTPS} off
RewriteRule ^(.*)$ https://%{HTTP_HOST}%{REQUEST_URI} [L,R=301]
- Nginxの場合:
server {
listen 80;
return 301 https://$host$request_uri;
}
3. 証明書の有効期限切れ
症状:突然「このサイトは安全ではありません」という表示が出る。
原因:更新作業の漏れ、通知の見落とし。
解決法:
- 有効期限のリマインダー設定(Googleカレンダーや監視ツール)。
- 自動更新が可能な証明書(例:Let’s Encrypt)を導入。
- 更新後はWebサーバーを再起動して設定を反映。
4. WWWあり・なしで証明書が無効
症状:「wwwあり」では有効でも「なし」ではエラーが出る(または逆)。
原因:SAN(Subject Alternative Name)に片方しか登録していない。
解決法:
- 証明書発行時に「www.example.com」と「example.com」の両方を指定。
- ワイルドカード証明書(*.example.com)を使ってまとめて対応。
5. 混在コンテンツ(Mixed Content)エラー
症状:ページの一部だけが「保護されていない」と表示される。
原因:HTTPSページ内にHTTP経由の画像やJS、CSSが含まれている。
解決法:
- HTML内のリソースURLをすべて「https://」に統一。
- 相対パスやプロトコルレスURL(例:
//cdn.example.com/file.js)を活用。 - ブラウザのデベロッパーツールでエラーリソースを特定。
6. クライアントによって証明書が認識されない
症状:一部の古いスマホやブラウザで「証明書が信頼されていない」と表示。
原因:中間証明書の対応範囲が限られている、または古いデバイス未対応。
解決法:
- より互換性の高い証明書(ルートCAが広く信頼されているもの)を選定。
- 中間証明書を適切に設定する。
- 古いTLSバージョンのサポート状況を確認。
トラブルを未然に防ぐための対策
- SSL Labsなどの無料診断ツールで導入後にチェック。
- インストール・設定作業を専門家に依頼する(特に初回導入時)。
- 有効期限の管理と更新スケジュールの見える化。
- サイト全体をHTTPS化し、HTTPを完全に遮断。
まとめ
SSL証明書の導入においては、手順を一つ間違えるだけで大きなエラーや信頼性の低下につながります。今回ご紹介した事例と対処法を参考に、トラブルのないスムーズなSSL導入を目指しましょう。


















